
久留米の賃貸 退去費用と原状回復の基本|敷金が戻る範囲と負担区分
【結論】この記事のポイント
賃貸の退去費用は、「普通に暮らしてできた傷みは貸主負担、故意・過失や手入れ不足による傷みは借主負担」が基本です。
- 法律:2020年4月施行の改正民法で、通常損耗・経年変化は借主の原状回復義務に含まれないこと(621条)、敷金は未払賃料などを差し引いて返すこと(622条の2)が明記された
- 経過年数:借主負担の場合も年数に応じて負担が減る。クロス(壁紙)は耐用年数6年で、6年を過ぎると残存価値は1円(ほぼ0%)とする考え方
- 特約:クリーニング費用などの特約は、内容が明記され、借主が理解・合意しているかなどで有効・無効が判断される
- 備え:入居時・退去時の写真と、契約書の原状回復・特約の確認がトラブル防止のカギ
ガイドラインは一般的な基準で、最終的には契約内容や使い方によって個別に判断されます。納得できない請求があるときは、消費者ホットライン「188」などに相談しましょう。
賃貸の退去の流れ(解約予告→立会い→精算)

賃貸の退去は、「解約予告」→「明け渡し・退去立会い」→「敷金の精算」の順に進むのが一般的です。まずは契約書で、解約予告の期間と原状回復のルールを確認しましょう。
| ステップ | 内容とポイント |
|---|---|
| 1.解約予告 | 契約書で定められた期間までに、管理会社または貸主へ解約を申し入れる。国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」では「少なくとも30日前」の申入れが例として示されているが、実際の期間は契約により異なる |
| 2.退去立会い | 退去時に借主と管理会社等が一緒に部屋を点検し、修繕が必要な箇所を確認する。国土交通省の管理会社向け調査(令和4年)では、その場で修繕箇所を伝え、精算書を後日送る方法が約6割 |
| 3.精算 | 敷金から未払賃料や借主負担の原状回復費用を差し引き、残りが返還される。不足する場合は追加で請求されることもある |
立会いでは、入居時に撮った写真や物件状況の確認リストを手元に用意しておくと安心です。立会いがない場合は、退去前に部屋の写真を撮っておくことも有効とされています。
ポイント
立会いで確認書にサインを求められたときは、「損傷があることの確認」なのか「費用負担への同意」なのかを確かめてから署名しましょう。疑問がある点は、その場で質問することが大切です。
原状回復とは?通常損耗は貸主、故意・過失は借主の負担

原状回復とは、入居したときの状態に戻すことではありません。国土交通省のガイドラインでは「借主の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。
日照による変色や家具の設置跡など、普通に暮らしていて生じる傷み(通常損耗・経年変化)の修繕費は、家賃に含まれると考えられています。そのため、有効な特約がない限り、借主が負担する必要はありません。
負担区分の具体例(ガイドラインの一般的な例示)
| 貸主負担になる例 (通常損耗・経年変化) | 借主負担になる例 (故意・過失・手入れ不足など) |
|---|---|
| 床(フローリング・畳・カーペット) | |
| 家具の設置による床・カーペットのへこみ、設置跡 | 飲み物などをこぼした後、手入れ不足で生じたシミ・カビ |
| 日照などによる畳の変色、フローリングの色落ち | 引越し作業などで生じた引っかきキズ |
| 特に破損していない畳の裏返し・表替え(次の入居者のため) | 冷蔵庫下のサビを放置して床を汚した跡 |
| 壁・天井(クロスなど) | |
| テレビ・冷蔵庫などの後ろの壁の黒ずみ(電気ヤケ) | タバコのヤニ・臭い(クロスの変色や臭いの付着) |
| 画鋲・ピンの穴(下地ボードの張替えが不要な程度) | 重い物をかけるためのくぎ穴・ネジ穴(下地ボードの張替えが必要な程度) |
| 日照などによるクロスの変色、ポスターの跡 | 結露を放置して広がったカビ・シミ、落書き |
| 設備・その他 | |
| 通常の掃除をしている場合の専門業者によるハウスクリーニング | 掃除を怠ったことによるキッチンの油汚れ、浴室・トイレ・洗面台の水垢・カビ |
| 破損・紛失がない場合の鍵の交換 | 鍵の紛失・破損による交換 |
| 寿命による設備機器の故障 | ペットによる柱やクロスのキズ・臭い |
上の表はガイドラインに示された一般的な例です。実際の負担は、契約内容や傷みの程度・原因によって個別に判断されます。
注意
借主には、部屋を「善良な管理者としての注意」を払って使う義務(善管注意義務)があります。飲みこぼしや結露を放置して被害が広がった場合は、借主負担と判断されやすくなります。水漏れなど修繕が必要な不具合に気づいたら、早めに管理会社等へ連絡しましょう。
経過年数の考え方と敷金・特約のルール

借主負担となる傷みでも、費用の全額を借主が払うわけではありません。ガイドラインでは、建物や設備の経過年数を考慮し、年数が経つほど借主の負担割合を減らす考え方をとっています。
クロスは「6年で残存価値1円」が目安
たとえば入居時に張り替えたばかりのクロス(耐用年数6年)の場合、借主の負担割合は100%から始まり、時間とともに下がっていきます。3年で退去すれば50%、6年を過ぎると残存価値1円(ほぼ0%)という考え方です。
| 部位・設備 | 経過年数の考え方(ガイドラインより) |
|---|---|
| クロス・カーペット・クッションフロア | 耐用年数6年 |
| 流し台 | 耐用年数5年 |
| エアコンなどの冷暖房機器・ガスレンジ | 耐用年数6年 |
| 便器・洗面台 | 耐用年数15年 |
| フローリング | 部分補修は経過年数を考慮しない。全体を張り替える場合は建物の耐用年数で考慮 |
| 畳表・襖紙・障子紙 | 消耗品のため経過年数を考慮しない |
また、借主の負担範囲は、原則として傷つけた部分の補修に必要な最低限度です。クロスの場合は、傷つけた箇所を含む一面分までの張替え費用が借主負担の目安とされ、部屋全体の張替え費用を負担させるのは妥当ではないとされています(喫煙などで部屋全体が変色した場合を除く)。
計算例(目安)
国土交通省の参考資料では、新築から4年住んだ部屋で、クロス2面(計20㎡)に破れ・キズをつけた場合の例として「20㎡×1,200円/㎡×33.3%=8,000円」が目安と示されています。単価は解説用に設定されたもので、実際の費用は物件・契約により異なります。
なお、耐用年数を過ぎたクロスでも、故意に落書きをした場合などは一定の費用負担を求められることがあります。
敷金は「明け渡し後」に、差し引き後の残額が返還される
民法622条の2では、敷金を「名目を問わず、家賃など賃貸借から生じる借主の金銭の支払いを担保するために、借主が貸主に預けるお金」と定義しています。賃貸借が終わり、部屋が返還されたときに、未払いの家賃などを差し引いた残額を返すルールです。
ガイドラインのQ&Aでは、契約で別の時期を定めていない場合、敷金の返還を請求できるのは明け渡しの後とされています。また、借主は差し引かれた原状回復費用の明細を請求し、説明を求めることができます。
特約が有効とされるための3つの要件
契約で、通常損耗の一部(ハウスクリーニング費用など)を借主負担とする「特約」が定められていることがあります。ガイドラインでは、借主に特別な負担を課す特約が有効となる要件として、次の3つを挙げています。
- 特約の必要性があり、暴利的でないなどの客観的・合理的な理由があること
- 借主が、通常の原状回復義務を超えた負担を負うことを認識していること
- 借主が、特約による負担に合意する意思表示をしていること
特約は必ずしも有効とは限らず、個別に判断されます。契約前に原状回復や特約の内容をよく確認し、納得したうえで契約することが大切です。
ポイント
2020年4月1日より前に結ばれた契約には、原則として改正前の民法が適用されます。ただし、原状回復や敷金のルールは以前の判例で確立していた考え方を明文化したもので、基本的な考え方は変わりません。
退去前のチェックリストと入居時の写真記録・相談先

退去費用のトラブルの大きな原因は、「その傷が入居前からあったのか、入居中についたのか」がはっきりしないことです。入居時に部屋の状態を写真やリストで記録しておくことが、いちばんの備えになります。
入居時の写真記録のすすめ
入居したら、家具を入れる前に床・壁・建具・水回りなどを撮影し、日付がわかる形で保存しておきましょう。気になるキズや汚れは、管理会社等と共有しておくと安心です。
管理会社等から確認リストの提出を求められていない場合でも、ガイドラインに掲載された「入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト」を使って記録しておく方法があります。
退去前チェックリスト
- 契約書で解約予告の期間を確認し、期限までに管理会社・貸主へ連絡した
- 契約書の原状回復の条件と特約(クリーニング費用など)の内容を確認した
- 入居時の写真・物件状況の確認リストを用意した
- 退去前に、部屋全体の写真を撮影した
- キッチンの油汚れ、浴室・トイレ・洗面台の水垢やカビなど、通常の掃除をした
- 自分でつけたキズ・汚れを把握し、加入している保険の対象になるか確認した
- 受け取った鍵(合鍵を含む)がすべてそろっている
- 立会いでの確認書は、内容(損傷の確認か、費用負担の同意か)を確かめてから署名する
- 精算書の内訳(範囲・単価・経過年数)を確認し、不明な点は説明を求める
トラブルになったときの相談先
退去費用で意見が合わないときは、まず写真などの根拠を示しながら、管理会社・貸主と話し合うことが基本です。話し合いで解決しない場合は、次のような窓口や制度があります。
| 相談先・制度 | 内容 |
|---|---|
| 消費者ホットライン「188」 | 局番なしの188にかけ、郵便番号を入力すると、身近な消費生活センター等の相談窓口を案内してもらえる(相談は無料、通話料は利用者負担) |
| 久留米市消費生活センター | 電話:0942-30-7700(えーるピア久留米2階)。月〜金曜と第2日曜の8時30分〜17時(祝日・月の末日・年末年始は休み)。消費生活に関する無料弁護士相談もあり(事前にセンターへ相談) |
| 少額訴訟(簡易裁判所) | 60万円以下の金銭の支払いを求める場合に使える手続き。原則1回の審理で判決が出る |
| 民事調停 | 簡易裁判所で、話し合いによる解決をめざす手続き。調停が成立すると確定判決と同様の効力がある |
受付時間などは変更されることがあるため、各窓口の公式サイトで最新情報をご確認ください。法的な判断が必要な場合は、消費生活センターや弁護士などの専門家に相談しましょう。
※本記事は2026年10月時点の民法・国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」等の公表情報にもとづく一般的な解説です。計算例の金額は目安であり、実際の費用は物件・契約により異なります。個別のケースの判断は、契約書の内容をご確認のうえ、専門家・相談窓口にご相談ください。
退去費用と原状回復に関するよくある質問
久留米でのお部屋探し・賃貸のご相談は住まいるパートナーズへ
株式会社KCF 住まいるパートナーズは、久留米市中央町の不動産会社です。
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原状回復や敷金について法的な判断が必要な場合は、消費生活センターや弁護士などの専門家へのご相談をおすすめします。
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